SMB代替ポート対応:セキュリティと柔軟性の強化

SMBにおける代替ポート対応は、マイクロソフトの「セキュア・フューチャー・イニシアティブ(SFI)」における重要な取り組みのひとつです。 これによりIT管理者は、ネットワークセキュリティとアクセス管理において、より高いコントロール性を手に入れることができます。

はじめに

Microsoftは、セキュア・フューチャー・イニシアティブ(SFI)の一環として、SMBプロトコルのセキュリティと柔軟性をさらに強化し続けています。最新の改善点のひとつが、SMB通信における代替ポートの導入です。
これによりIT管理者は、従来の標準ポート以外を使用してSMBトラフィックを設定できるようになりました。

この機能により、外部からのSMB接続に対するコントロール性が向上し、攻撃者に狙われやすい既知のポートへの依存を減らすことで、セキュリティの強化が実現します。

SMB代替ポートの詳細については、以下のチュートリアル動画もご覧ください。

代替ポートとは?

サービス名やポート番号は、同じトランスポートプロトコル上で動作するさまざまなサービスを区別するために使われています。
SMBは通常、以下のIANA/IETFによって割り当てられた標準ポートを使用します:

  • TCP: 445
  • QUIC: 443
  • RDMA: 5445

     

今回導入された代替ポート機能により、IT管理者は0~65536の範囲内で任意のポート番号を指定できるようになりました。
これにより、ネットワーク設定の柔軟性が大幅に向上します。

SMB代替ポート:導入前

これまで、SMBクライアントがサーバーへ接続する際は、それぞれのトランスポートタイプに割り当てられた標準ポートを使用するしかありませんでした。
そのため、これらのポートにアクセスでき、かつサーバーの証明書を信頼しているクライアントであれば、誰でも接続を試みることが可能な状態でした。

SMB代替ポート:導入後

現在では、管理者はSMBの受信接続に対して任意のポートを指定して構成できるようになり、接続方法や接続先に対するコントロール性が大幅に向上しました。
さらに、クライアント側でも代替ポートをブロックしたり、特定の承認済みサーバーへの接続のみに制限したりすることが可能になっています。

PowerShellでSMB代替ポートを設定する

Windows Serverでは、SMBの代替ポートを定義・管理するためのPowerShellコマンドが用意されています。
ここでは、代替ポートの設定に必要な主なコマンドをご紹介します。

 

代替ポートの一覧表示

現在SMBサーバーに設定されている代替ポートを確認するには、次のコマンドを実行します:

\> Get-SmbServerAlternativePort

出力例:

Port    TransportType    EnableInstances

—-      ————-      —————

443     Quic                  Default

445     Tcp                    Enabled

 

SMBクライアント接続時に代替ポートを指定する

代替ポートを使用してSMB共有に接続するには、次のコマンドを使用します:

\> New-SmbMapping -LocalPath <drive letter>: -RemotePath \\server\share -TcpPort <port number>

これにより、標準ポート以外を使ったSMB接続が可能になります。

 

代替ポートの追加・削除・更新

QUIC用に新たなSMB代替ポートを設定するには、次のコマンドを使用します:

\> New-SmbServerAlternativePort -TransportType Quic -Port <NewPortNumber> -EnableInstances Default

既存の代替ポートを削除する場合:

\> Remove-SmbServerAlternativePort -TransportType Quic -Port <OldPortNumber>

既存のポート割り当てを変更する場合:

\> Set-SmbServerAlternativePort -TransportType Quic -OldPort <OldPortNumber> -NewPort <NewPortNumber>

 

ベストプラクティスとよくある落とし穴

SMBの代替ポートを設定する際は、以下のベストプラクティスに従うことで、セキュリティと機能性を確保しましょう。

✅ ベストプラクティス

  • 複数のトランスポートタイプを使用する場合は、それぞれに一意のポート番号を割り当て、競合を防ぐこと
  • ポート設定を変更した後は、必ず接続テストを行い、正常に機能していることを確認すること

 

❌ 注意すべき落とし穴

  • デフォルト設定に頼りすぎることで、セキュリティリスクを見落とす可能性があること
  • テストを行わずに新しい設定を運用し、互換性問題や接続障害を引き起こすリスクを軽視してしまうこと

     

まとめ

SMBにおける代替ポートの導入は、Microsoftのセキュア・フューチャー・イニシアティブ(SFI)における重要な取り組みのひとつであり、IT管理者に対してネットワークセキュリティとアクセス管理に関するより高いコントロール性を提供します。
Visuality Systemsは、SMBプロトコルのエキスパートとして、SMB署名SMB over QUICNTLMブロックを含むMicrosoftの最新のSMBセキュリティ強化施策に対応したソリューションを提供しています。
さらに詳しい情報やご相談、ソリューションのトライアルをご希望の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

Raphael Barki, Head of Marketing, Visuality Systems

Raphael Barki, Head of Marketing, Visuality Systems

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