SMBとCIFSの違いとは?

CIFSとSMBは同一視されがちですが、実際には技術的・実務的に明確な違いがあります。中でも、パフォーマンスとセキュリティの観点において、SMBはCIFSを大きく凌駕しています。

SMBCIFSという用語はしばしば同義語のように使われますが、厳密には同じものではありません。ファイル共有、NAS、あるいはWindowsとの互換性に関わるシステムを扱う際には、SMBプロトコルCIFSプロトコルの違いを正しく理解しておくことが重要です。本記事では、SMBとCIFSの技術的・歴史的・実用的な側面を深掘りし、SMB/CIFSサーバーやアプリケーションの選定・運用に役立つ知識をお届けします。

SMBとは?

SMB(Server Message Block)は、ネットワーク上のデバイス間でファイルの読み書きやサービスの要求を可能にするファイル共有プロトコルです。1980年代にIBMによって開発され、その後Microsoftにより改良・発展が続けられてきました。

現在主流となっているSMBのバージョン(SMB 2.02.13.03.1.1など)は、初期の実装に比べて大幅に強化されており、高いパフォーマンス、先進的な暗号化、効率的なリソース管理、そして強化されたセキュリティ機能を備えています。

CIFSとは?

CIFS(Common Internet File System)は、1990年代半ばにMicrosoftがWindows NT 4.0とともに導入した、SMBプロトコルの特定の方言(ダイアレクト)です。実質的には、MicrosoftのSMB 1.0バージョンであり、当時としてはより高いパフォーマンスと広範なネットワーク対応を目指して設計されました。

CIFSは、大きなファイルサイズのサポートやWindows環境との統合性向上といった利点を備えていましたが、その後MicrosoftがSMBを継続的に進化させたことで、CIFSは古い仕様として取り残される形となりました。

CIFSは現在も使われているのか?

技術的にはすでに廃れたプロトコルであるにもかかわらず、CIFSという用語は今でもネットワーク関連のドキュメントや設定画面などで目にすることがあります。ただし、最新のオペレーティングシステムではCIFS(SMB 1.0)は初期状態で無効化されているのが一般的です。これは、CIFSに多数のセキュリティ上の脆弱性と効率面での問題があるためです。

Microsoftは近年のWindowsバージョンにおいて、SMB 1.0/CIFSの使用を正式に非推奨(廃止)としており、セキュリティの観点からも完全に無効化することが推奨されています。

SMBとCIFSの主な違いとは?

CIFSとSMBは同じものと見なされがちですが、実際には技術的にも実用面でも大きな違いがあります。
両者の主な違いを以下の比較表にまとめてみました。

機能CIFS (SMB 1.0)SMB 2.0/2.1/3.x
導入年1996年SMB 2.0 (2006年), SMB 3.x (2012年以降)
パフォーマンス処理速度が遅くて冗長処理速度が速く少ないコマンドでスムーズに動作
効率性遅延が大きく、コマンドの連携処理が非効率効率的なパイプライン処理とバッチ処理に対応
セキュリティ暗号化に対応しておらず、攻撃に対して脆弱AES暗号化、SMB署名、事前認証整合性保護に対応
拡張性拡張性に乏しい最新のデータセンター要件にも対応できる高い拡張性
回復性(レジリエンス)フェイルオーバーやマルチチャネル通信に非対応マルチチャネル通信とフォールトトレランスに対応
サポート旧式プロトコルのため正式サポートはすでに終了積極的にサポート・開発が継続
ユースケースレガシーシステム最新のWindows、Linux、組み込みシステム
暗号化なしSMB 3.0から対応
現在の推奨利用非推奨強く推奨

上記のとおり、SMBはあらゆる主要な点においてCIFSを大きく上回っており、特にパフォーマンスとセキュリティの面でその差は顕著です。

CIFSが置き換えられた理由とは?

CIFSは、コンピューティングの要求が今よりも単純で、ネットワークも低速だった時代——つまり1990年代半ば——に設計されたプロトコルです。その設計は当時の技術的制約を反映したものであり、現在では以下のような点で時代遅れとなっています:

  • 通信オーバーヘッド:CIFSはチャットのやり取りのような性質を持ち、シンプルな操作でも大量の通信を必要とするため、ネットワークに大きな負荷を生じさせる
  • セキュリティリスク: CIFSには暗号化機能や安全なネゴシエーション機構が標準搭載されておらず、中間者攻撃やダウングレード攻撃などに対して脆弱
  • 現代システムとの非互換:現在のWindows、Linux、macOSなどの主要なOSでは、SMB 2.xや3.xを標準プロトコルとして採用

現代のITインフラではセキュリティと効率性が重要視されるため、CIFSからSMB 2.x / 3.x への移行は、もはや避けては通れない必然的なステップとなっています。

SMBはCIFSより何が優れているのか?

従来のCIFSサーバーとは異なり、SMB 3.0以降を実行する最新のSMBサーバーには、以下のような技術的優位性があります:

  1. 暗号化(データ保存時・通信時):AES-128およびAES-256による暗号化に対応しており、信頼されていないネットワーク環境でもデータの安全性が確保される
  2. SMBマルチチャネル: 複数のネットワーク経路を同時に使用することで、通信のスループット向上と可用性の確保を実現
  3. パーシステントハンドル: ネットワーク切断が発生してもファイルハンドルの状態を維持できるため、より高い耐障害性が得られる
  4. 圧縮機能(SMB 3.1.1以降): 一部のワークロードに対してはデータ圧縮を適用でき、通信の遅延と帯域使用量を削減

これらの機能強化により、SMBはエンタープライズ向けのファイル共有、クラウドストレージアクセス、IoTデバイスとの連携といった高度な要件にも適した、現代的で強力なソリューションとなっています。

SMBとCIFSの主な利用シーンとは?

CIFSは現在では非推奨とされていますが、アップデートされていない古い機器やレガシー環境では、いまだに使われているケースがあります。以下に、CIFSとSMBそれぞれの典型的なユースケースを簡単にまとめます:

CIFS

  • 旧式のWindowsネットワーク環境
  • 古いNAS機器
  • レガシーシステムとの互換性を維持する必要がある場面

SMB

  • 最新のWindows / Linux / macOS 環境でのファイル共有
  • VPNやQUIC経由でのセキュアなリモートファイルアクセス
  • プリンターやスキャナーなどの組み込みシステムとの連携
  • クラウドストレージやハイブリッド環境でのファイルサービス

 

企業や組織が長期的な運用やリモートアクセス機能の強化を目指す場合は、
旧式のCIFSではなく、SMB 3.xをベースとしたプロトコルの導入が強く推奨されます。

CIFSの使用が危険とされる理由とは?

CIFSは、現代のサイバー脅威に対応できない重大な脆弱性を抱えており、もはや安全な選択肢とは言えません。主なリスクは以下のとおりです:

  • 暗号化の欠如: 通信データが平文(暗号化されていない状態)で送信されるため、盗聴や改ざんのリスクがある
  • ダウングレード攻撃:攻撃者が接続を意図的にCIFSへダウングレードさせることで、最新のSMBのセキュリティ機能が無効化される
  • 中間者攻撃: セッションの乗っ取りや再送信攻撃(リプレイアタック)に対して無防備であり、なりすましによる不正アクセスが可能になる

これに対しSMB 3.xは、強力な暗号化SMB署名、安全なバージョン交渉(ダイアレクトネゴシエーション)などの機能を標準で備えており、これらのリスクに対する有効な対策が講じられています。

CIFSとSMBは同じサーバー上で動かせるのか?

技術的には、1台のSMBサーバーで複数のSMBバージョンを併用することは可能です。互換性確保のために、古いバージョンと新しいバージョンを同時に有効化する設定もできます。しかし、CIFS(SMB 1.0)の有効化は推奨されていません

推奨されるベストプラクティス:

  • SMB 1.0(CIFS)は無効化する
  • SMB 2.1以降のみを有効にする
  • リモートアクセスにはSMB over QUICなど、安全な方式を採用する

このような構成にすることで、最新のクライアント環境との互換性を保ちつつ、高いセキュリティレベルを維持することができます。

開発者はSMBとCIFSをどう扱うべきか?

ファイル共有やリモートファイルアクセスを前提としたアプリケーションを開発する場合、SMB 2.xおよび3.xへの対応は必須です。互換性目的であっても、CIFS(SMB 1.0)の使用は一切推奨されません。

開発者向けの推奨事項

  • 最新のSMBバージョンに対応したライブラリを使用する
    例:C言語ベースのYNQ、JavaベースのjNQなど
  • 暗号化とSMB署名を初期設定で有効にする
  • Windows、Linux、組み込み機器など、複数のプラットフォームでの動作検証を行う

デスクトップアプリ、モバイルOS、組み込みデバイスのいずれを開発対象とする場合でも、SMB 2.x / 3.x への対応はもはや必須事項です。

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Raphael Barki, Head of Marketing, Visuality Systems

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